塩コショウだけを使ったシンプルなもの、醤油を使った和風ピラフ的なもの、カレー粉を使ったものなど様々な味付けがある
タマネギなどの具材と炒め合わせた後、ケチャップを入れ味付けのベースとする。甘酸っぱい味わいがよりなつかしさを感じさせる
基本のスタイルはトンカツにデミグラスソースをかけたもの。トマトソースやカレーソースなどをかける店もある
赤い扉を開けると店内は山小屋風で、壁にはたくさんのキャラクターグッズが飾られキュートな雰囲気。「1975年のオープン以来、何も変わっていないんですよ。お客様からいただいたキャラクターグッズは増えましたが。何年かぶりに来てくださったお客様が『変わってなくてなつかしい』と言ってくださいますね(笑)」。笑顔で迎えてくださるのは岩永富美子(いわなが ふみこ)さん・真奈美(まなみ)さん親子だ。
メニューに並ぶのはコロッケ、ハンバーグといった洋食の数々で、店名にも冠されているとおり、コロッケが一番人気。サックリと揚げられたコロッケの中身は、通常のコロッケとクリームコロッケをブレンドしたようなフワフワでトロリとした食感。その秘密とは…「じゃがいもをゆでて皮をむき、ゆでたニンジンも合わせてマッシュします。そこにクリームソースを加えて混ぜ合わせるんです。長崎産をはじめ、その時に一番美味しいメークインを使用しています。コロッケにはもう一種『カントリーコロッケ』があって、ベースは同じですがコーンとベーコンが入ってます。すべて私の主人が作り上げた味なんですよ」と、富美子さん。
さて、こちらでは『トルコライス』は2008年頃から始められたとのこと。「ピラフとナポリタンは作っていましたし、カツの代わりにコロッケやハンバーグをのせれば、『うちオリジナルの『トルコライス』ができるね』ということで始めたんです」。こちらが提供する基本のトルコライスである『トルココロッケ』はピラフ、ナポリタン、コロッケで作られる。コロッケの代わりに、チキンカツ、ハンバーグ、カントリーコロッケをのせたものもある。
現在、厨房で料理を担当するのは「父と母が作ってきた味を守っています」という真奈美さん。すべての料理を注文が入ってから作り始める。『トルココロッケ』も同じで、まず油にコロッケが投入される。
コロッケが揚がる間に、ピラフとナポリタンを作る。
●ピラフ
フライパンにマーガリンを入れ、タマネギとハムを炒める。卵を入れ、ごはんを入れて炒め、ミックスベジタブルを加える。味付けは塩、コショウ、醤油。卵とごはんを入れている最中に日本酒も加えた少し和風のピラフだ。「一度に4人前を作ることもありますが、フライパンがちょっと重たいですね(笑)」。
●ナポリタン
フライパンにマーガリンを入れ、麺を炒める。ケチャップ、塩、コショウで味付け。「太めの麺を使っています。懐かしい感じのナポリタンかもしれないですね」。
皿にピラフとナポリタンを盛りつけ、その上に揚げたてのコロッケを3つ並べる。両端のコロッケにはデミグラスソースを、真ん中のコロッケには特製マヨネーズソースをかけてできあがりだ。「マヨネーズは手作りなんですよ。ゆでたまごと生たまごの黄身などで作っていますよ」。
できあがった『トルココロッケ』は皿を手に持つとずっしりとして、かなりのボリューム。「主人の想いでボリュームたっぷりです。女性にはちょっと多いかな(笑)。でもぺろりと食べてしまわれる方が多いですよ」。ピラフ、ナポリタン、コロッケと、初めて食べるのにどれもなつかしさを感じるのが不思議だ。 「以前は8割以上女性のお客様でしたが、今は男性も多いですね。食べ盛りの学生さんもよく来てくださいますし、幅広い年齢層のお客様に来ていただいています。今は娘ががんばってくれていますが、主人が作った味を変えずにやっていきたいですね」。親子2代で通う方もいらっしゃるそうだ。
開店当初とは街の様子はずい分と変わったとのことだが、変わらない『コロッケ』のお店はずっと多くの方に愛されている。地元の方、観光の方を合わせ、開店前に行列ができることもある。その中には、もちろん、『トルココロッケ』を求めて訪れる人の姿も。
「『トルコライス』は、元々はピラフ、ナポリタン、トンカツの3つを一度に盛りつけた料理でしたが、今ではバリエーションも増えています。うちの『トルココロッケ』もトンカツの代わりにコロッケですからね(笑)。ステーキがのったものなどもあるんですよ。『トルコライス』は長崎の名物ですから、この料理を通して長崎の街が盛り上がるといいなと思っています。お客様の『美味しかったよ』がなによりうれしい言葉です。そのためにがんばっていきたいですね」。
具材はタマネギ、ハム、卵、ミックスベジタブル。味付けに酒、塩、コショウ、醤油を使った少し和風テイストのピラフだ
ゆでた麺を炒め、ケチャップ、塩、コショウで味付けした懐かしい味わいのナポリタン。やや太めの麺を使っている
トンカツの代わりに、マッシュしたジャガイモとニンジンにクリームソースを合わせて揚げたコロッケを使用。2種のソースをかける
1975年創業の洋食店で店内はキュートな山小屋風。看板メニューのオリジナルコロッケは、つぶしたジャガイモとニンジンにクリームソースを合わせたもの。基本となるトルコライス『トルココロッケ』はトンカツの代わりにコロッケが3つのり、デミグラスソースと手作りのマヨネーズソースがかけられ、ボリューム満点。