九州の味とともに 秋

この料理の"味のキーワード"

材料

欠かせないのは落花生。他にはゴボウ、大根、ニンジン、サトイモ、コンニャクなど。鶏肉が入ることも多い

味付け

調味料は醤油、砂糖、みりん、酒など。昆布出汁、落花生から出る出汁も味わいに深みを与えている

作り方

落花生は下ゆでして殻から外す。それ以外の材料は1cm角に切って下ごしらえする。鍋に材料、出汁、調味料を加えて煮込む

語り 鈴田峠 野鳥の森レストラン 福田麻樹の「にごみ」

福田麻樹さん

『鈴田峠 野鳥の森レストラン』は、大村市と諫早市の境にある鈴田峠にある。平成17年、農産物直売所『鈴田峠 こだわり市場』とともにオープンした。直売所では大村地区・諫早地区で採れた新鮮な野菜や海産物を販売。レストランでは、それらの食材や長崎県産の食材を使った料理をバイキング方式で食べられる。

料理を作るのは地元の主婦のみなさん8名。料理長の福田麻樹さんにお話をうかがった。
「バイキングの料理はデザートまで含めて、いつも40~45種類ほど作っています。毎朝、材料を見てからメニューは決まりますね。『大根ばたくさん持ってきてあるけん、なんば作ろうかね』といった具合です」。

そんな中、『にごみ』は定番料理の一つだ。
「盆、正月、誰かが来た時…大村は、何かあれば『にごみ』を食べますからね。根菜が多いので、冬に作ることが多いですが、お盆とか正月とか人が集まる時には絶対に食べんといかんものですから(笑)。私もよく食べますが飽きませんよ(笑)。ここで出している『にごみ』も、皆さんよく食べてくださいます。お盆の時期など、特によく出ますね。帰省して来られる方なども懐かしくて、たくさん食べられるのでしょうね」。

まずは『にごみ』の材料について教えていただいた。
「ニンジン、ゴボウ、大根、ジャガイモ、レンコン、厚揚げ、長崎産の鶏肉、干しシイタケ、昆布、コンニャク、落花生と、うちでは11種類の材料を使っています。作る家ごとに、作り手ごとに材料は違います。サトイモを使うことも多いのですが、うちでは一度に大量に作るので、溶けにくいジャガイモにしています」。

次に下ごしらえだ。
「落花生は、外側の殻を外した薄皮付きの、生のものを仕入れて、それを10分ほど下ゆでしています。大村産の落花生は9月くらいに収穫されるので、その時期には大村産のものを使っています。店舗の横の直売所でも売っていますよ。昆布は、水で戻した細いものに手作業で結び目をつけた後で切っています。ちょっと大変ですけど、みんなでやっています。結び昆布には、『喜びを結ぶ』や、『家族を結ぶ』といった意味があって縁起がいいですからね。その他の材料は1cm角くらいにそろえて切ります。レンコンやゴボウは水につけて、アク抜きもしています」。

食材を1cm角に切るが、煮くずれするジャガイモだけは一回り大きく切っておく

大きさがきれいにそろった1cm角の材料だが、ジャガイモだけは一回りほど大きい。
「ジャガイモは煮ていくと、煮くずれて角が取れ小さくなります。だから、ジャガイモだけは大きめに切っておくんですよ。食べてくださった方に『食材の一つ一つが、小さくきれいにそろっていますね』と言っていただくとうれしくなりますね」。

鶏肉を炒め、出汁を加え、根菜類などを入れて煮込み、最後にジャガイモと結び昆布を入れてさらに煮る

材料の準備が整ったところで大鍋登場。
「この鍋は30リットル以上入る鍋です。たくさん作ったほうが美味しくなりますからね。まず、鶏肉を炒めます。その後、ゴボウなどの根菜類を入れて昆布出汁を入れて煮込んでいきます。ジャガイモと結び昆布は最後ですね。落花生のゆで汁や、シイタケの戻し汁も加えると、いい風味が出ますね。調味料は、砂糖、醤油、みりん、酒。醤油は地元長崎の醤油の薄口と濃口です。このレシピはオープンした時、ここの近くのお母さんたちが教えてくれたものをベースに、みんなのアイデアで作っていきました。もっと甘いほうがいいかな、もっと醤油を入れようかと言いながら…。大村では少し甘めの味が好まれるようですね。じっくり煮込んだらできあがりですが、煮物ですから少し寝かせておくと美味しくなりますね」。

できあがった『にごみ』は、煮汁に落花生の香りがふんわりと漂う。それぞれの素材の旨味も感じられるやさしい味わいだ。
「よく3世代でのお客さんがお見えになります。おじいちゃんとおばあちゃんがお孫さんに食べさせていらっしゃいますよ。『にごみ』はどの年代の方も好きみたいです。やわらかく炊いているのもいいのでしょうね」。

店内には手作り料理がずらりと並ぶ

落花生が入った料理として、こちらのレストランオリジナルの『鶏ピー飯』も人気メニューだ。
「大村では落花生はよく食べられています。居酒屋にも落花生をゆでた『ゆでピー』があるお店が多く、「とりあえず、『ゆでピー』ください」といった感じです(笑)。落花生を炊き込んだ落花生ごはんというものもあるんです。そして、諫早では、よく鶏飯が食べられています。この2つを融合したものが『鶏ピー飯』というわけです。おにぎりにしても美味しいですね。うちは大村市と諫早市の境にあるので、厨房で働いているスタッフは、大村市の人もいれば諫早市の人もいます。それでうまいぐあいに出来上がったのかもしれません」。

地元の方はもちろん、長崎市内から来られる方など、週末や休日は特ににぎわうとのこと。
「団体さんが来られる時は、朝、みんなで『やるぞ、オー!』とかけ声かけたりしています。主婦パワーでバリバリやっていますよ(笑)。毎週日曜に来てくださる方など、常連さんもいらっしゃいます。うれしい限りです」。

地元のお母さんたちが作ってくれる料理は、身体にやさしく、食べ飽きることはないのだ。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

材料

ニンジン、ゴボウ、大根、ジャガイモ、レンコン、厚揚げ、長崎産の鶏肉、干しシイタケ、昆布、コンニャク、落花生

味付け

調味料は、砂糖、醤油、みりん、酒。昆布出汁とともに加える落花生のゆで汁と干しシイタケの戻し汁も旨味の素だ

作り方

まず、鶏肉を炒め、ゴボウなどの根菜類を入れて昆布出汁を入れて煮込む。ジャガイモと結び昆布は最後に加える

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鈴田峠 野鳥の森レストラン地元のお母さんたちが作る料理が食べ放題

大村市と諫早市の境『鈴田峠』にあるバイキングレストラン。地元で採れる新鮮な野菜や魚介を中心に使った料理は、常時40~45種類。地元のお母さんたちが手間と愛情をこめて料理している。『にごみ』は定番&人気の一品。落花生の入った鶏飯『鶏ピー飯』や、長崎ちゃんぽんが入った春巻『ちゃんぽん春巻』は人気のオリジナルメニューだ。

『にごみ』は定番の一品。90分食べ放題のバイキングは、大人1,260円、シニア(70歳以上)1,050円、小学生840円、幼児420円、3歳以下無料
落花生の食感が食をすすめる『鶏ピー飯』。持ち帰り用の『鶏ピー飯の素』は2合用630円
オリジナルの『ちゃんぽん春巻』。ちゃんぽん麺と、とろみのついた、あんを合わせたものを皮で巻いて揚げる
鶏ガラスープベースに、クコの実、カボチャの種、松の実、ひまわりの種などが入った『薬膳スープ』。このスープを使った単品メニュー『薬膳ラーメン』630円もある
週末や休日には満席になることもある店内

鈴田峠 野鳥の森レストラン

住所 大村市中里町452-8
電話 0957-48-5523
営業 11:00~15:00(土・日曜~20:30)
休み なし
94席
カード 不可
駐車場 あり
URL http://stn.bz/
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