ウロコと内臓を取り、背中側から包丁を入れ、身と骨を分ける。三枚おろしのように完全には切らず、一部がつながった状態にする
グルクンに軽く塩をふるだけのことが多い。レモンやシークワサーなどの柑橘や大根おろしが添えられる。ポン酢がつくこともある
温度や揚げ時間によって食感が異なるので、作り手の個性がもっとも出るところ。よりカラッとさせるため二度揚げすることも
ビルに漁船が食い込んでいるようなインパクトのある外観。
中に入るとその船は100トンの海水が入る巨大な生簀に浮かんでいる。
驚きの連続のままメニューを見ると、そこには「ステーキの焼き方ならぬ、グルクンの揚げ方、いかが致しましょうか?ふんわりやわらか小骨に注意『レアー』、サクサクソフト骨をひっかけぬよう『ミディアム』、身も骨もバリバリせんべい『ウェルダン』」の文字…これにもびっくり。
店名はズバリ『ぐるくん』。魚介を使った料理や沖縄料理が食べられるが、『グルクンの唐揚げ』は店一番の看板メニューだ。店主・奥平秀光さんはフレンチやイタリアンの経験を積んだこともあり、『グルクンの唐揚げ』も3種類の揚げ方を考えられたとのこと。奥平さんが一番のおすすめという『ウェルダン』を作っていただいた。
「味付けは特にはないし、唐揚げという料理自体は簡単なものなんですが、店々で微妙に味わいが異なります。大切なのは、包丁の入れ方と、揚げ方ですね。家庭では丸ごと揚げたり、表面に切れ目を入れて揚げたりしますが、ちょっと違います。グルクンの背中から包丁を入れるんだけど…その後は秘密です(笑)。
比較的低い温度でじっくりと揚げます。揚げるのに15分くらいかかるんですが…細かいことは秘密です。簡単なことだけど工夫しているんですよ(笑)。絶対に『ウェルダン』がおすすめなんですが、たまに『揚げ過ぎじゃないですか?』と言う方もいらっしゃるんです。それで、レアとミディアムも出すようになりました。レアはじゅわっと身がやわらかいし、ウェルダンはかりっと骨せんべいみたいに食べられるし、ミディアムはその中間。それぞれに違う味わいが楽しめますよ」。
できあがった『グルクンの唐揚げ』には、ポン酢、薬味として大根おろしとネギ、それにシークワサーがついてくる。唐揚げにシークワサーを搾り、薬味をポン酢に入れていただく。カラリと揚がった唐揚げは食べる時に、バリバリ、サクサクッという音もする。
「私は、もう味見することはありませんが、食べてくださっている時のサクッという音で、『今日も美味しい唐揚げを作ることができた』と確認していますよ。うちに来られた方は、大抵、一人で一匹食べられます。両手で持ってがっつり食べるのが美味しいですよ(笑)。そうそう、グルクンは唐揚げにすると美味しいサイズというのがあります。小さすぎても大きすぎてもダメですね。それと、新鮮なグルクンを使うと美味しいです。うちに来てくださった方は、ほとんどみなさん『グルクンの唐揚げ』を注文してくださいますので、それができないと、みなさんをがっかりさせてしまいます。そこで、以前、天候が悪くて新鮮なグルクンが手に入らない時に、冷凍ものを使ったことがあったんです。でも、それは全然ダメでした。ですから、今は大変申し訳ないですが、いいグルクンがない時は唐揚げは作りません。私は自分の船でグルクンを釣ってきたりもします。新鮮なものを使えば絶対に美味しいですね」。
奥平さんが釣ってきたグルクンが生簀を泳いでいる時もあるのだそうだ。お願いすれば、船で体験フィッシングとして、グルクン釣りに出かけることもできる。
グルクンは沖縄の県魚。それにまつわるお話も聞かせていただいた。
「昔はグルクンはたくさん獲れていて、グルクンでカマボコを作っていたほどなんですよ。今では昔ほどは獲れていないので、カマボコはめったに見ません。けれど、グルクンで作ったカマボコが1万円くらいで売られていたのを見たことがあります。結婚式が式場ではなくて、町の公民館とか集会場とかで行なわれていた時代は、折詰に『グルクンの唐揚げ』が入っていましたね。グルクンは和名が『タカサゴ』だから縁起も良いしね。私が『グルクンの唐揚げ』を初めて食べたのは中学生の頃です。それは今みたいな形ではなくて丸揚げでしたね。先ほどお話したみたいに、カマボコの材料にするくらいたくさん獲れていたから、カマボコ作りに使わない頭の部分はすごく安く手に入っていたんですよ。それをいつも塩煮で食べていたんです。だから、やわらかい身のついた唐揚げは、当時はすごいごちそうでしたね」。
『グルクンの唐揚げ』に、一緒に添えられている緑の葉も勧めてくださった。
「これは長命草という長寿の食材です。残ったポン酢にオリーブオイルを入れるとドレッシングができるので、それをかけて食べてみてください。一枚食べると100年長生きできると言われています」。
お店の外観も、『グルクンの唐揚げ』も、長命草の葉も… 様々な驚きがこちらのお店の魅力である。
新鮮なグルクン以外は使わない。グルクンの背中から包丁を入れ、さらに細かな包丁を入れることで食べやすく美味しくなるとのこと
グルクンは下味はつけずにそのまま揚げる。唐揚げにシークワサーを搾り、ポン酢、大根おろしとネギの薬味でいただく
比較的低い温度でじっくりと揚げる。『ウェルダン』だと約15分くらいだ。カラリと揚がるようにさらに一工夫されているのだそう
漁船がビルをぶち抜き、店内に巨大な生簀があるというユニークな店。メニューには3種類の『グルクンの唐揚げ』が。「レアーはふんわりやわらかくて、ミディアムはサクサク香ばしくて、ウェルダンは骨までバリバリです」と店主・奥平秀光さん。目の前の川に付く漁船から直接水揚げされる新鮮な魚介を使った料理を中心に、沖縄の様々な味を楽しめる。
住所 | 沖縄県那覇市若狭3-20-8 |
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電話 | 098-866-3667 |
営業 | 平日 18:00〜24:00(LO 23:00) 日祝日 18:00〜23:00(LO 22:00) |
休み | 水曜不定休(予約の場合は営業) |
席 | 100席 |
カード | 不可 |
駐車場 | あり |
URL | http://www.gurukunmaru.com/ |