日向市・細島地区に伝わる漁師料理
カツオの身を練り込んだまるい焼きおにぎり
宮崎県北部に位置する日向市・細島港(ひゅうがし・ほそしまこう)は天然の良港で、古くから漁港として栄えている。昔から水揚げ量の多いカツオを使い、日向市の中でも細島地区で食べられ続けている郷土料理が『こなます』だ。
カツオをさばいて三枚におろし、切り分けた身を炙る。それを細かく刻み、塩とごはんを合わせてこねるようにしっかり混ぜ、まるい形にして表面を焼き、焦げ目をつければできあがり。表面は香ばしく、中はもっちりとした食感でカツオの風味が広がる。元々、漁師たちが船上で余ったカツオとごはんを使って作っていた漁師料理。漁から帰ってきた漁師が家族のお土産にしたり、港でその帰りを待つ人々にふるまったりしたようだ。今では細島の家庭料理として親しまれている。刺身やタタキとしても食べられる新鮮なカツオを使った、シンプルだがぜいたくな料理といえるかもしれない。細島の方言で“こなます”は“こねまわす”という意味で、材料をよく混ぜて作ることが『こなます』の名前の由来だという説が有力なようだ。
カツオの旨味満点で何個でも食べたくなる『こなます』は焼きたても美味しいが、冷めても美味。飲んだ後の締めにもぴったりなうえに、焼酎のつまみにもなる一品だ。
細島港は天然の良港で古くから栄えていた。室町時代に日明貿易の船が立ち寄ったとも言われている。 カツオ漁は昔から続く一本釣りが中心で水揚げ量が年間を通して多い。近海では3月末から7月上旬頃の上りカツオと、9月末から11月末までの戻りカツオの時期に漁が行なわれている。その他、近海では、カタクチイワシ、アジ、サワラ、サバ、ブリ、タイなどに多彩な魚種に恵まれている。
細島港に揚がった新鮮なカツオが使われることが多い。さばいて三枚におろして切り分けた身を、炙った後で小さく刻む
『こなます』に使う調味料は基本的に塩だけ。カツオの味と塩加減が『こなます』の味わいを左右する
刻んだカツオに塩とごはんを合わせ、よくこねる。まるい形に整えた後、表面をこんがりと焼く
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