ふんわりとした食感と塩味の中に
濃厚な大豆の旨味が広がる豆腐
沖縄で豆腐づくりが始まったのは、中国との交易が始まった14世紀頃からと言われている。『ゆし豆腐』は、豆乳ににがりを入れて固まり始めたふわふわの状態のもの。簡単に言うと、『ゆし豆腐』を型に入れ、重しをしてしっかり水を切れば、縄でも結べるほど固いといわれる沖縄独特の『島豆腐』となるわけだ。
『ゆし豆腐』の見た目はおぼろ豆腐に近いが、普通の豆腐とは違う。まず、『ゆし豆腐』の素となる豆乳は、大豆を水で煮て絞ったものではない。大豆を水に浸しふやかしたものを挽いて絞る“生絞り”なのだ。また、大豆濃度が高いのも『ゆし豆腐』の特徴。さらに、豆乳を固める時に、にがりとともに塩を入れる。かつて、にがりの代わりに海水を用いていた(現在は禁じられている)ことのなごりで塩味をつけるための塩を入れるのだそうだ。“生絞り”、高い大豆濃度、塩味の3つにより、大豆本来の旨味がより強く感じられる豆腐となる。
塩味がついているのでそのまま食べても美味しいが、一般的な食べ方は、熱いカツオ出汁を加えて温め、塩や醤油を加えて味を整え、刻んだネギを加えて食べるというスタイル。さっぱりとした出汁の味の中で『ゆし豆腐』の旨味と甘味が感じられる。最近では、沖縄そばの上に『ゆし豆腐』をのせる『ゆし豆腐そば』もよく食べられている。
『島豆腐』は沖縄の多くの家庭料理に使われる。“チャンプルー”と呼ばれる料理は元来、島豆腐が必ず入っている料理なのだ。また、行事食として厚揚げが食べられることも多い。そのため、豆腐の個人消費量は全国的に見ても高くなっている。栄養価の高い豆腐は、豚肉、昆布などと並び沖縄の健康・長寿を支えた食品だと考えられている。
沖縄では『ゆし豆腐』や『島豆腐』を買う時に、より温かいものを選ぶという傾向がある。スーパーでも、賞味期限が当日という温かい豆腐が売られているほど。かつては、『ゆし豆腐』も『島豆腐』も、市場で出来たてのものを買って朝食で食べるという習慣もあったようだ。
作り手が追い求める味わいを出すために吟味した大豆を、気候・気温・湿度などを考慮しながら水に浸しておく
かつて沖縄ではにがりの代わりに海水で豆腐を固めていた。そのなごりで、現在はにがりとともに塩を加え、塩味をつけている
水を含みやわらかくなった大豆をすりつぶし、豆乳とおからに分ける生絞りをする。豆乳に熱を加え、にがりと塩を入れ凝固させる
3本の中から飲みたい一本をお選びください。
3種類の飲み方からおすすめを一つお選びください。