骨までバリバリと食べられる
カラッと揚がった南国・沖縄の魚
沖縄の魚屋には、沖縄以外ではなかなか目にすることのない鮮やかな色の魚が並んでいる。その一つが『グルクン』。和名は『タカサゴ』で、『グルクン』は沖縄の方言だ。鮮やかな赤色が印象的だが、海の中で泳いでいる時は青味がかった色をしているのだという。奄美大島以南の温かい海に生息し、沖縄の県魚にも指定されている魚だ。
一年中獲れる白身魚なので、沖縄では刺身、塩焼き、塩煮と様々なグルクン料理が食卓に並ぶ。その中でも代表的な食べ方が、他県でも良く知られている『グルクンの唐揚げ』だ。エラとハラワタを取った後、丸ごと揚げるのではなく、身と背骨の部分が分かれるような独特の背開きにして、塩をふったり小麦粉をまぶしたりして、油に入れる。見た目にもおもしろい形になる上、骨にもしっかりと火が通る。カラッとした衣をまとった、淡白な白身。骨までパリパリに揚がっているので、頭から尾まで丸ごと食べられる。その絶妙な味わいのアクセントは、レモンや沖縄特産の柑橘・シークワーサーの搾り汁だ。ポン酢につけて食べても美味しい。
あっさりとした味わいは飽きることがないので、沖縄の人々には、家庭でも飲み会の席でも欠かせない魚料理なのだ。
■グルクンについて
泊魚市場の太物課課長・松川直樹さんに、グルクンについてうかがった。
「グルクンといってもいろんな種類がいるんですよ。代表的なのは、カブクァー、ウクー、アカジュー、ヒラーといったもの。見た目も違いますね。漁師たちは、『グルクン』とは言わずに、この呼び名で呼んでいます。海で泳いでいる時は薄い青色をしていますが、海から出すと急激に赤くなりますね。漁法は、伝統的な追い込み漁が行なわれています。これは、簡単に言うと、海の中に網を仕掛けて、潜った漁師が鐘などを鳴らしながら、魚をそこに追い込むという漁法ですね。沖縄では『アギャー漁』と言います。1本の糸に針を幾つも仕掛けるサビキ釣りも多いですね。奄美から南がよく獲れる場所ですが、宮古島のすぐ近くにある伊良部島あたりが一番よく獲れます。最近では、長崎に揚がったという話もありますよ。
グルクンは大きくなると骨が硬くなるので、唐揚げには小ぶりのものが向いていますね。宮古地方では、グルクンをブツ切りにして酢みそなどをつけて、そのまま口の中に入れて食べ、骨を口から出すという豪快な食べ方もありますよ(笑)」。
ウロコと内臓を取り、背中側から包丁を入れ、身と骨を分ける。三枚おろしのように完全には切らず、一部がつながった状態にする
グルクンに軽く塩をふるだけのことが多い。レモンやシークワサーなどの柑橘や大根おろしが添えられる。ポン酢がつくこともある
温度や揚げ時間によって食感が異なるので、作り手の個性がもっとも出るところ。よりカラッとさせるため二度揚げすることも
3本の中から飲みたい一本をお選びください。
3種類の飲み方からおすすめを一つお選びください。