2021.09.17

土の中の芋は見えないから、目の前の農家を見つめてきた。

  • #さつまいも
  • #造り

おいしい焼酎に欠かせない、さつまいも。
品質を守るために、日々の奮闘がある。

本格焼酎。その主原料は、秋が旬の野菜、さつまいもだ。
霧島酒造の焼酎である「黒霧島」「白霧島」には、「黄金千貫(コガネセンガン)」というさつまいもを使用している。
デンプンが豊富で焼酎造りに最適である反面、一般的なさつまいもに比べると病気や傷みに弱い為、品質には注意を払う必要がある。
製造部原料課課長である坂元裕哉が、日々の奮闘を語ってくれた。

「10年以上、原料調達に携わっていますが、計画通りにいったことは1回もないんです」
言うまでもなく、さつまいもは土の中で育つ作物。
サイズも数も、その品質も、畑を掘ってみるまでは、わからない。
「農家さんのことを考えると、丹精込めて作っていただいた分の対価は払いたい。
ただ、焼酎の品質を守るという絶対的な使命もあるので、時には厳しい対応をせざるをえないこともあります」

生産農家の畑で収穫されたさつまいもは、
原則として3日以内に霧島酒造の工場に納品される。
納品されたさつまいもの品質をチェックするのは原料課の役目。
病気や傷みのあるさつまいもが混ざると、
通常とは異なる香り・味の焼酎になるため、その責任は重大だ。

芋の質がよくない傾向にあるときは、注意が必要な旨を手紙で通知したり、畑まで出向いたりしている。
生産農家であり、仲買会社でもある森博幸さんも、坂元と頻繁に連絡を取り合っている。

「坂元さんはよく畑を見てくれて、芋の生育状況とか、流行ってる病気のこととか、いつも話をしてますよ。
同じ地域でも畑ごとに土はちがうし、それによって必要な肥料も変わります。
やっぱり育てている私たちが、芋のことを一番わかってますから」
通常、霧島酒造と生産農家の間には、仲買会社がいて、工場への納品も仲買会社が行う。
しかし、坂元は生産農家と会い、生の声を聞くことも多い。そうすると、いろんな課題が見えてくるのだと言う。

坂元が心配しているのは、高齢化と後継者不足による生産農家の減少だ。生産農家が減ると、一戸当たりの耕地面積が増え、作業負担も大きくなる。
坂元自身、過去に農業に携わった経験があり、体力的な負担の大きさは人一倍理解している。

作業の機械化はできないか。補助金をもらえないか。買取価格を上げられないか。
必要であれば、行政にも会社にも働きかける。
焼酎メーカーという枠にとらわれず、生産農家のためにできることを模索している。
「とにかく、農家さんを守らないといけない」
坂元は、取材中に何度も口にした。

「うちは九州産さつまいも100%というこだわりがある。農家さんあっての霧島焼酎ですから」
おいしい焼酎を待っていただいているお客様のためにも、生産農家に何か支援できることはないか。坂元は、常日頃から、愚直に考え続けている。

霧島酒造に芋を納品している生産農家は、1300軒ほど。仲買会社も50社ほどいる。
「夢の中で何件も電話がかかってくるんですよ」
8月から11月頃の収穫時期は、まったく気が休まらないと言う。

「おかげさまで弊社は、焼酎メーカーのなかでトップブランドと呼ばれるようになりました。そうあり続けるためにも、農家さんへの支援も、できることは率先してやらなきゃいけない。もっと攻めていきたいんです」
焼酎の品質を守る。生産農家を守る。
その両方をやるのが、霧島酒造の使命なのだ。
生産農家との二人三脚は、これからも続いていく。

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