収穫時期に合わせて、翌年のさつまいもの苗をつくるための種芋を選別します。良い種芋は傷や病気がなく、形が良いさつまいも。苗づくりが始まる春先まで適切な環境で保管します。
さつまいもの一生
おいしさは循環する。
未来に繋がる焼酎造り
春に植えたさつまいも苗は燦々と降り注ぐ太陽のエネルギーを受けようと、畑いっぱいにツルを伸ばし、葉を繁らせます。やがて大きく育ったさつまいもは焼酎となり、人々の活力に。製造工程で発生した焼酎粕や芋くずは、工場・地域のエネルギーや堆肥に。さらに「イモテラス」で育てる健全なさつまいも苗で生産農家を支援しながら、持続可能な循環型の焼酎造りを目指します。
焼酎造りは
さつまいもづくりから
種芋は温かい環境で発芽し、いくつものツル(苗)を伸ばします。ハウス内に植えられた種芋から苗が育つまで40日以上。品種や育てる方法によって異なりますが、5〜6回ほど採苗して苗を増やします。
地表が温かくなる春頃、苗の植え付けが始まります。茎が太くて丈夫な苗を、通気性と水はけの良い畑に挿すように植え付けます。
霧島さつまいも種苗生産センター
「イモテラス」の
取り組み
近年、焼酎原料のさつまいもを腐敗させる「サツマイモ基腐病」の被害が拡大しています。生産農家の皆様が安心してさつまいもを育てられるよう、霧島酒造は苗づくりから支援を行っています。
健全な苗の育成・供給
サツマイモ基腐病はさつまいもを生産するすべての段階で感染リスクが伴います。「イモテラス」では病害発生リスクの少ないさつまいも苗を生産農家の皆様へ供給するため、菌やウイルスが検出されない苗の成長点(茎頂部分)を培養し、健全な苗を育てています。
さつまいもの研究開発
作業負担の少ない直播適性のある品種や新たな芋焼酎の味わいを生み出す品種など、さつまいもの可能性はまだまだ広がっています。「イモテラス」では、栽培環境の把握・省力化、新品種の研究開発などを行い、さつまいもの安定確保と新たな価値の創出を目指します。
畑で採れた
さつまいもは工場へ
霧島酒造が使うさつまいもは栽培面積にして3,000ha、東京ドーム約640個分に相当します。 8月から12月にかけて収穫され、新鮮なうちに焼酎製造工場へ運び込まれます。
1日に仕込むさつまいもは、1工場あたり約80トン。5工場で約400t使用しています。8月から12月の収穫期には、人の手で丁寧にさつまいもを選別し、おいしい焼酎造りに励んでいます。
焼酎製造で
発生する副産物
選別の際に取り除いた芋くずや、焼酎を蒸留する時に出る焼酎粕は、メタン菌を使ってメタン発酵させ、バイオガスに変換しています。回収したバイオガスは、製造工程のボイラー燃料や発電に利用しています。
メタン発酵後に残ったものは固体と液体に分離します。固体は、さつまいもをはじめとする農作物の堆肥として生まれ変わり、南九州の大地 に還元されます。この堆肥を使用してつくられたさつまいもが、またおいしい焼酎造りの源となるのです。
さつまいも生産農家が時間をかけて
大切に育てたさつまいも。
余すところなく使用することで、
持続可能なおいしい焼酎造りを
目指してまいります。