九州の味とともに 夏

大分 中津からあげ

サクッとした衣とジューシーな肉
冷めても美味なからあげ

福沢諭吉が育った地として知られ大分県北部に位置する中津市。この地で1970年代から親しまれている料理が鶏のからあげ。
最近では『中津からあげ』として全国的にも知られ、中津市内では約30の専門店を含め、肉屋、惣菜屋、居酒屋など多くの店でからあげが提供されている。中津の方々にとってからあげはどちらかと言えば“作る”ものではなく“買う”もので、人が集まる時には欠かせない。中津にからあげが根付いた理由として、かつて中津に多くの養鶏場があって鶏肉が手に入りやすかったという説や、戦後に旧満州からの引揚者が中国の鶏料理を再現したからといった説がある。

ぶつ切りの鶏肉にニンニク、ショウガ、塩、醤油などを合わせた各店特製のタレをもみ込んでねかせた後、片栗粉をまぶして揚げる。揚油は新しい油を継ぎ足しながら使われており、油も味を深める調味料のひとつとして考えられているようだ。鶏肉そのものに味がついているので、揚げたてはもちろん、冷めても美味しく、弁当のおかずに入れられることもある。味噌汁に入れたり甘辛く煮付けたりして食べるのも中津では一般的だ。からあげにする鶏肉は、当初は骨つきのもも肉のみだったが、現在では骨なしのもも肉、むね肉、手羽先、手羽元、砂ずりなどバリエーションが増えている。

聖地中津からあげの会

『聖地中津からあげの会』は大分県中津市のからあげを全国発信することを目的として、からあげ店の店主が集まり2010年8月に設立された。3代目会長であり『まぢからあげ店』店主の間地徹夫(まぢてつお)さんにお話をうかがった。

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「加盟店の条件は、国産鶏肉を100%使うこと、本店が中津市内にあること、本店が2年以上営業していることなどです。どこも丁寧に作っていますし、それぞれに味が異なるので、まず食べていただきたいですね。からあげが嫌いな方はあまりいないと思いますし(笑)。ニンニクの風味とショウガの風味の強さ、塩味と醤油味のどちらが強いかなどを気にしながら食べ比べていただくと、違いがわかっておもしろいと思いますよ。中津では、からあげを家で作る方はあまりいないようです。買ったほうが簡単だし安いからです。うちにも、子どもが100円玉をにぎって買いに来たりもしますよ。つまみにもなるし、おかずにもなるし、冷めても美味しいので、一度にたくさん買われる方もいますね。揚げたてをそのまま食べる以外に、甘辛く煮付けたり、卵とじにしたり、酢豚の豚肉の代わりに使ったりといろいろな食べ方をされているようです。『聖地中津からあげの会』ではイベントやキャンペーンなどを行なっていますが、中津での一番大きなイベントは毎年9月に行なう『からあげフェスティバル』です。通称『からフェス』と呼ばれていますが、からあげ店が一堂に集まり、一度に食べ比べができます。中津市の人口は8万5000人ほどですが、『からフェス』には2日間で10万人以上の方が集まるんですよ。中津からあげが美味しいことをたくさんの方に伝えていきたいですね」。

中津からあげを語ってくれる間地さん

●まぢからあげ店
住所/中津市今津1045-3
電話/0979-32-7060
営業/11:00~19:00
休み/水曜

●聖地中津からあげの会
http://seichi-nakatsukaraage.com

●からあげフェスティバル
http://karafes.com

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「中津からあげ」、三様。

三人の料理人が語る、それぞれのこだわりとは

この料理の"味のキーワード"
鶏肉

一番好まれているのは骨なしもも肉。その他、骨つきもも肉、むね肉、手羽先、手羽元、砂ずりなども使われている

タレ

ニンニク、ショウガ、塩、醤油を基本に、野菜、果物、香辛料などを合わせて、各店独特のタレに鶏肉を漬け込む

揚げ方

漬け込んだ鶏肉にデンプン(片栗粉)をまぶして揚げる。継ぎ足しながら使う油も調味料の1つとして考えられている

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