もっちり&喉越しツルリに磯の香り…
博多の朝ごはんに添えられる一品
色味的にはコンニャクに似ているが、口にすればトコロテンにも似た味わい。『おきゅうと』は、博多の朝ごはんのおかずとしてよく知られている、海藻を使った加工品だ。
日本海側だけで採れる海藻『エゴノリ』に『イギス』という固める作用を持つ海藻をブレンドしたものが基本的な材料。材料を湯で煮溶かし、裏ごしする。小判型に薄く伸ばして冷めて固まったらできあがりだ。博多では、固まった『おきゅうと』をクルクルと丸めたものが昔から売られている。江戸時代から食されており、昔は丸めたものを浅めの木箱に並べて、行商もされていた。
名前の由来には幾つかの説があるようだ。
●飢饉の時に食べられはじめ、多くの人を救ったということから『救人(きゅうと)』
●エゴノリがウドのように早く育つということから『沖のウド』→『沖ウド』→『おきゅうと』
●沖の漁師が作り方を伝えたということで『沖人』→『おきひと』→『おきゅうと』
よく冷えた『おきゅうと』を短冊形に切って、カツオ節、ネギ、ショウガ、ゴマなどをのせ、醤油や酢醤油をかけていただく。少しもっちりとした食感だがツルリとした喉越しもいい。磯の香りもしてごはんのおかずにぴったりだが、芋焼酎にもよく合う。
ほとんど水分で、カロリーはほぼゼロに近い。そのため、ダイエット食や健康食品としても注目されている。
かつて、博多湾では『おきゅうと』の原料となるエゴノリが豊富に採れていた。そのため、現在の福岡市東区箱崎地区を中心に、『おきゅうと』が盛んに作られていた。
基本的な材料はエゴノリとイギス。産地や採れる海の深さによって質が異なるので、天日に当てたり、ブレンドしたりして調節する
材料を湯に入れて煮込み溶かす。材料と水の割合もできあがりを左右する。丹念に混ぜることも不可欠
煮溶かしたものを裏ごしして小判型に成形。かつては一枚ずつ手作業だった。冷えて固まったらクルクルと丸めるのが博多流
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