シャキっとした歯応えが瑞々しい
青いパパイヤを炒めた沖縄の家庭料理
黄色やオレンジに色づいたものを果物として食べることが一般的な『パパイヤ』だが、沖縄では熟す前の青いパパイヤを“野菜”として食べることも多い。沖縄では自生していたり、庭で育てている家もあったりするほどパパイヤは身近な食材。酢の物や煮物などの材料にされることもあるが、沖縄でもっとも親しまれている食べ方が、炒め物にして食べる『パパイヤイリチー』だ。
青いパパイヤを半分に切って中の種とワタを取り皮をむいた後、粗めの千切りにする。家庭では“しりしりー器(千切りを作るスライサー)”がよく使われている。パパイヤ以外の材料としては、ニンジン、ニラ、ポーク(ポークランチョンミート)、ツナなどがあるが特に決まっているわけではなく、様々なバリエーションがあるようだ。材料を炒めてから出汁、塩、醤油などを加えて味付けする。
パパイヤのシャキッとした歯応えとしつこくなくあっさりとした味付けは、暑い時にも食がすすむ味わい。『パパイヤイリチー』は『ゴーヤーチャンプルー』と並んで、沖縄では特に暑い季節によく食べられている家庭料理なのだ。
■パパイヤについて
パパイヤについて沖縄県宜野座村産業振興課農業経営コーディネーター・仲原英敏さんにお話をうかがった。
「パパイヤは約20種類の品種があります。雄株のもの、雌株のもの、両性のもの(その中でも雄主体や雌主体のものもある)があり、それぞれに実の形が違います。簡単に言うと、雌株は丸くて雄株はひょろ長くなりますね。沖縄では野菜として食べることが多いです。中が赤や黄色になってしまうと甘くなってしまうので、野菜として使うには青いうちに収穫します。青いパパイヤの表面には白い液体がついていることがあります。また、表面を少し傷つけると白い液体がにじんできます。木になっているものや収穫してすぐのものはよく出ますね。この白い液は酵素で、このままの状態で手につくとかぶれてしまうのですが、肉と一緒に炒めると肉をやわらかくするという効果があるようです。もちろん火を加えれば食べても大丈夫です。白い液がお乳のようだからでしょうか、昔から沖縄では、赤ちゃんのいるお母さんがお乳がよく出るようにパパイヤを食べる習慣がありますね。酵素は熟れるとほとんどなくなるので、果物として食べることもできます。また、酵素は葉や茎にも含まれていて、加工すると化粧品にもなるんですよ」。
仲原さんに案内していただき、パパイヤ生産農家・比嘉健一さんを訪ねた。
鉄骨で組まれたハウスの中には高さ3mほどの『フルーツタワー』という種類のパパイヤの木が茂っている。
「パパイヤは苗を植えて半年もすると収穫できるし育つのは早いよ。小さい苗の時は根が腐ってしまうから水をあまりやらないけど、ある程度大きくなったら水をしっかりやるね。なにもせずにほうっておくと、2年もするとハウスの屋根に届くまで高くなってしまうから、幹の先端を落として大きくならないようにするんだよ。そしてこのハウスはね、温室というより風対策なんだよ。元々は夏の作物だから2月から3月くらいは温室の本来の役割だけどね。パパイヤの茎は空洞で、ちょっと風が吹くとポキッと折れてしまうんだよ。だから路地でも育てることはできるけど、台風がくるとみんなだめになってしまうね。前はこのあたりで路地物を育てている人もいたけど、今はいなくなってしまったね。出荷するのは1.5kgくらいの青いパパイヤ。皮が少し黄色くなっていると、中は熟して甘くなってイリチーなどの料理には向かないね。表面が少し白くて粉っぽい感じのパパイヤが中も青くて向いてるね。
収穫は一つずつ手でもいでいくんだよ。実はかたまってなっているから、ハサミなどの道具が使いにくいんだよね」。
熟す前の青いパパイヤを中心に、ニンジン、もやし、ポーク(ランチョンミート)、ツナ、ニラなど
味付けに使うのは出汁、塩、醤油などのシンプルなもの。さっぱりとした味わいは暑い時にぴったりだ
パパイヤは種とワタをとって皮をむき、粗めの千切りにする。その他の材料と一緒に炒めて味付けする
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