海底から湧き出る清らかな水が育てた
上品な甘味と旨味を持つ白身魚
城下町・日出(ひじ)。町の北側にある鹿鳴越(かなごえ)連山にふり注いだ雨が長い年月をかけて濾過され、町内のあちこちに湧き出している。別府湾の海中にも清らかな水が湧き出す場所があり、ここで育つマコガレイが『城下かれい』だ。名前の由来は、暘谷城(日出城)の前の海で獲れていたから。江戸時代末期からこう呼ばれていたようだ。暘谷城址近くには、高浜虚子の句碑も立てられている。
〜海中に 真清水わきて 魚育つ〜
外見的には、頭部が比較的小さく、尾びれが角張っていないという特徴を持つ。そして、真水の力により、泥臭くなく上品な甘味を持つのが味わいの特徴だ。刺身、唐揚げ、煮付け、南蛮漬け、吸い物、茶碗蒸しなど様々な料理にできるが、身の甘みが一番よくわかるのは刺身。薄造りにされた身をポン酢などでいただけば、口の中いっぱいに上品な甘味が広がる。尚、日出で昔から伝わる伝統的な食べ方は、二段引きした身を、梅酢を使ったタレにつけていただくというものだ。
『城下かれい』は、江戸時代は殿様しか食べることができなかった。参勤交代の折には干物を将軍様に献上していたとのこと(うるう年には、端午の節句に生のかれいを船と早馬で運んだ)。それほど貴重で美味な味わいの魚なのだ。
『城下かれい』は、定置網か建て網で獲ることが多く、主流は建て網漁とのこと。底曳きの網に引っ掛かることもまれにあるのだそうだ。
日出藩初代藩主・木下延俊によって慶長7年(1602年)に建てられた。日出城とも呼ばれている。現在は石垣で当時の面影をしのぶことができる
城下かれいが美味しくなってくる毎年5月の第3土曜・日曜に開催。お得な値段で城下かれいを食べられる『城下かれいミニ懐石賞味会』(予約可)、マコガレイの稚魚放流、海上パレードなど、様々なイベントが行なわれる。
『城下かれい』をしめた後、三枚におろして刺身を引く。基本は薄造りだが、伝統的な二段おろしにしている店もある
タレは醤油、酒、ミリン、ショウガ、ゴマ他を合わせて作る。薬味はネギやワサビが添えられることが多いが、作り手や場所で異なる
『城下かれい』の旨味を一番に味わえる刺身の他、刺身とは違う『城下かれい』の美味しさを伝えるため、各店が工夫した料理もある
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