九州の味とともに 春

この料理の"味のキーワード"

魚

アジ、サバ、ブリ、カンパチといったその時に美味しい魚を使う。脂ののった青身の魚が適しているようだ

タレと薬味

タレは醤油、酒、ミリン、ショウガ、ゴマ他を合わせて作る。薬味はネギやワサビが添えられることが多いが、作り手や場所で異なる

作り方

魚を切り身にして、タレに漬け込み、薬味を添える。魚の種類によっても、作り手によっても、漬け込む時間は調整されているようだ

語り 酒仙和食 丹生 丹生賢一の「りゅうきゅう」

丹生賢一さん

「お酒を楽しんでいただくための和食をお出ししたいと思っています」。きりりとした作務衣姿の店主・丹生賢一さんが旬の素材で作る料理は、どれも洗練された味わいだ。

鮮やかな包丁さばきで魚を切る

元々は家庭料理でもある『りゅうきゅう』も、同じように丁寧に作られている。
「魚はアジ、サバ、ブリ、カンパチなどを使います。今日はカンパチで作りますが、魚によって脂ののりかたが違うので、タレにつけておく時間も変わるんですよ。つけ過ぎると水分と塩分が出てしまって身が固くなり、ぷりぷりよりもねっとりになってしまいますし、味も悪くなってしまいます。カンパチは5〜10分、アジは軽くもむ程度、ブリは脂がのっていて味が入りにくいので20〜30分くらいです。タレは醤油ベースでミリン、ショウガなどが入っています。タレの味と魚の旨味をうまく調和させなければなりません。日本人の舌はとても繊細ですから、すべての料理で、味がどう“調和”しているのかということを常に考えていますね」。

特製のタレをかけて和える

カンパチの切り身にタレとゴマが和えられる。しばらく漬け込んだ後、ツマとワカメと大葉を器の下に敷いて切り身がのせられ、タレをふりかけ、ゴマをふりかければできあがり。薬味とともにうずらの卵が添えられているのは、こちらの『りゅうきゅう』ならではだ。
「卵を添えるのは、醤油ベースの味だと、少しカドがあるからなんです。卵と一緒だとまろやかになりますからね。ランチタイムには『りゅうきゅう丼』を出していますが、こちらには卵の黄身をおつけしています。味がまろやかになるし、ごはんとも馴染みやすくなりますから」。

ゴマを入れてさらに和える

一つの器の中での味の調和も大切だが、食事全体の中でのバランスも大切とのこと。
「コース料理の中では、薄味のものと濃い味のものの調和も大切です。『りゅうきゅう』は刺身醤油も使っていますから、濃い味の料理です。コースでは、最後の〆に『りゅうきゅう丼』としてお出ししています。コースではない場合は、まず刺身を食べていただいて、その後でお客様が、『濃い味のものがほしい』と言われた時や、『口さびしいので何か一品を』と言われた時にお出ししていますね」。

形も彩りも美しく盛りつける

丹生さんのお父様も和食の職人さんで、小さい頃から身近に和食があったのだそう。
「『りゅうきゅう』は父も作っていましたし、祖母も作っていました。元々は家庭料理ですから飲食店のメニューにのるようなものではなかったんです。甘いものもあったり、刺身醤油を使うのもあったりで味付けも様々。刺身が余れば醤油につけて、次の日に食べるという家庭料理ですよね。家庭では余り物の魚を使いますが、お店でお客さんに出すのは刺身にもできる鮮度のいい魚です。修行中によくまかないで食べていましたし、今もまかないにしてよく食べていますよ。『りゅうきゅう』の名前の由来は、いろいろありますが、おもしろいものもあります。『りゅうきゅう』に使う魚は刺身の残りの端っこの部分。琉球(沖縄)は日本の端っこに位置する島。だから、端っこつながりで料理名も『りゅうきゅう』になったという説です(笑)」。

今、丹生さんは、若い世代の魚離れ、和食離れを気にかけている。
「昼間は『りゅうきゅう丼』と『とり天定食』を準備しているのですが、若い方の多くは『とり天定食』です。やはり、魚離れ、和食離れはあるのだと思います。『りゅうきゅう』はゴマを和えるので魚が苦手な方でも食べられる料理なのですが…。今の若い方にも受け入れられる、お酒に合う和食を目指していきたいですね」。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

魚

アジ、サバ、ブリ、カンパチなど、その季節で美味しい魚を使う。刺身でも食べられる新鮮な魚だ

タレと薬味

タレは醤油ベースでミリンやショウガなども入る。ゴマ、ネギなどの薬味とともに、うずらの卵がつくのは、味をまろやかにするため

作り方

切り身にした魚をタレに漬けておくが、魚によって脂ののり方が違うので、魚の旨味とタレの味が調和するように、漬ける時間を変える

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酒仙和食 丹生 和食の繊細さで作られた『りゅうきゅう』

「お客様は30代以上の落ち着いた方が多いですね」と店主・丹生賢一さん。スタイリッシュな落ち着いた空間で、お酒に合う料理をいただける和食処だ。『りゅうきゅう』も、その日に使う魚によって、タレに漬ける時間を変えるという細やかさ。添えられたうずらの卵と合わせると、よりまろやかな味わいになる。『旬会席コース』3150円〜で季節を味わうのもいい。

『りゅうきゅう』600円。うずらの卵の代わりに鶏卵の黄身が付く『りゅうきゅう丼』は700円(昼の定食は880円)
『琉球』と、『とり天』580円、女性に人気の『煮卵温野菜添え』650円
和食の店だがすっきりとしたスタイリッシュな店内

酒仙和食 丹生

住所 大分市府内町2-2-22
電話 097-532-5524
営業 11:30〜14:00/17:00〜23:00
休み 日曜
26席
カード 不可
駐車場 なし
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