田んぼと月を象り、彩りも華やか
500年以上受け継がれる箱寿司
タマネギやレンコンの産地として知られる佐賀県白石町。米どころでもあるこの町の須古地区だけに、世代を超えて500年以上受け継がれている箱寿司(押し寿司)が『須古寿司』である。領民たちが領主に感謝の気持ちを込め、その場にある材料でつくったのが始まりだと言われている。須古地区では、お祝い事や祭り事に今も欠かせない郷土料理だ。
もち米を1割ほど入れて炊いたごはんで酢飯をつくり、『もろぶた』と呼ばれる木の箱に詰める。詰められた酢飯をほぼ正方形に等分し、具材を順番にのせていく。塩味と歯ごたえが小気味いい奈良漬け、甘辛く味付けされた椎茸・ゴボウ、むつごろうの甘露煮、エビ、紅しょうが、カマボコ、デンブ、錦糸卵など彩りも華やか。少しもちもち感のある酢飯と、具材それぞれが持つ味や食感がいい具合にからみあい、口の中に広がる。
もろぶたの中で切り分けられた『須古寿司』の一つ一つは田んぼを、中央に丸く置かれた黄色い錦糸卵は田毎の月(たごとのつき)を表しているものなのだという。それは高台に作られた須古城(後の隆城)から時の領主が見ていた、須古地区に広がる美しい田園風景なのであろう…。
佐賀県白石町は、コシヒカリ、ユメシズク、ヒノヒカリなどを栽培している。8月上旬に収穫が始まり、秋まで続く。白石ヒノヒカリは佐賀県の品質鑑評会で2010年に1位を獲得した。また、2位、3位も白石産のお米だった。2010年だけではなく、白石産米は毎年上位を占め、白石町は佐賀県一の米どころ。その理由は干拓地として開かれた土地だけに、土壌にミネラル分が豊富だから。したがって、裏作のタマネギも美味しいものになり、広く知られるようになった。
大きな干満差と干潟で知られる有明海に生息する。飛び出した目を持ち、干潟を胸ビレで這い回る姿がユニークだが、郷土料理として食されてもいる。生きたまま串に刺して素焼きした後、甘辛いタレで煮込む甘露煮や、タレをかけて焼く蒲焼きが一般的な料理法だ。
米どころ・白石町の米がベース。もちもちした食感を出すため1割ほどもち米も加える。炊きたてに寿司酢を加え酢飯をつくる
奈良漬け、錦糸卵、むつごろうの甘露煮、紅しょうが、椎茸、ゴボウ、カマボコなどが基本的な具材。作り手によって違う具材も入る
錦糸卵を一番上から丸い形にしてのせるところは共通しているが、細かい盛りつけ方は作り手によって微妙に異なるようだ
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